Born alone, die alone.

独りを楽しむ。

化粧

今日は受験が終わったこと、母からの誕生日のプレゼントで、化粧品を揃えることになった。

 

だいぶ若いお姉さんに化粧のレクチャーを受けながら、自分で化粧というものをしてみた。

けれども、化粧をした自分の顔を私は見ることができなかった。

 

私の前に置かれていた鏡に、私の顔が映らなかったからだ。

 

最初部屋に入って、広いテーブルの上に鏡が置いてあるのを見た。そこには私を見つめ返す私が確かに写っていた。

今思い返せば別の部屋で洗顔して、鏡の前に座ると、鏡が薄くぼやけていた気がする。でもその時には特に気にも止めずに、若いお姉さんの話を聞くのに集中していた。

けれども、行程が進むにつれ、鏡はまるで曇っていくように私の姿を消していった。最後に紅を引くときには全く見えなくて、見えてるふりをしながら鏡を覗き込んで化粧した。きっと紅は曲がったのだろう。若いお姉さんは「慣れてないのに上手ですね〜」と言いながら急いで私の顔を手直ししていた。

 

終わると母は私の後ろから鏡をのぞきこみ、「いいじゃない」と笑った。

 

私は何も見えない鏡越しに「そうだね」と笑った。

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